制作工程

01炭切り

刀鍛冶が使う松炭は、点火しやすく、軽いため鋼の出し入れがしやすいので使用されている。
棒状の松炭を3㎝角に鉈(なた)で切る。
切った炭が同じ大きさでないと火力が一定にならないので慎重に切ることが大切である。

02水圧し

玉鋼を熱して薄く打ちのばし、厚さが5㎜程度になったところで、
熱いうちに水に入れて焼き入れを行う。

03小割・選別

焼き入れした玉鋼は硬くなり、金敷の上で叩くとすぐに割ることができる。
細かく割ったものを炭素分の多い硬い鋼（皮鉄(かわがね)用）と
炭素分の少ない軟らかい鋼（芯鉄(しんがね)用）に選別する。

04積み沸かし

玉鋼でできた台の上に選別した硬い鋼（皮鉄用）を積み重ね、和紙で包み、
その上にわら灰をまぶし、粘土汁をかけてコーティングし熱することで、
表面がガラス状になり、直接鋼に風が当たるのを防ぎ、芯まで同じ温度に加熱することができる。
軟らかい鋼（芯鉄用）も同様にする。

05折り返し鍛錬

積み沸かしたものを熱して鍛接していき長方形にのばし、鋼の中央に切れ目を入れて折り返す。
この鍛錬という工程を硬い鋼（皮鉄用）は約15回繰り返し、
軟らかい鋼（芯鉄用）は約6回繰り返す。

06造り込み

鍛錬を終えた硬い鋼（皮鉄用）はU字型に形作り、軟らかい鋼（芯鉄用）は包丁状に形作る。
皮鉄に芯鉄を挟み鍛接する。

07素延べ・火造り

造り込みしたものを棒状にのばし（素延べ）、手鎚ひとつで刃先を打ち出し、
ムラのない刀の形に打ち出していく（火造り）

08生仕上げ

火造りしたものを鑢(やすり)やセンなどの道具を使い、形を整え、
荒い砥石で綿密に仕上げ、おおよその刀の形を完成させる。

09土置き

粘土に炭や砥石の粉を混ぜ合わせ焼刃土(やきばつち)を作り、
まず刃文になる所に薄く土を塗り、次に足土を置き、刃文以外の所は厚く土を塗る。
焼き刃土の塗り方によって刃文の模様が決まる。

10焼き入れ

土置きをした土が乾いたら、刀身全体を均等に熱し、
780℃に達したと見極めたら、水槽の中に刀身を入れ急冷する。
焼き入れを行うことで刃側と棟側で膨張率が変わり、刀に反りが現れる。
長い刀全体の加熱具合を縦方向から見極めるのは至難の業である。

11鍛冶押し

刀身のひずみを取り、きれいに研ぎ全体を整える。

12刀職者・銘切り

鍛冶押しをした刀身は、研ぎ師、白銀師(しろがねし)、鞘師(さやし)の職方を回り、
お客様にお納めできる作品だと確信できれば、鏨(たがね)で銘を切り完成となる。